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非農地証明とは?

非農地証明とは?取得条件・申請方法・地目変更との関係をわかりやすく解説

登記上は「田」や「畑」でも、実際には耕作されておらず、住宅や駐車場として使われている土地は意外と多く存在します。こうした土地において、農地法の許可を得ずに地目変更を行うために必要な制度が「非農地証明」です。

非農地証明とは?

非農地証明とは、農地のまま放置されたり既に他の用途に使われていた土地について、現況が農地でないことを農業委員会が証明する行政手続きです。この証明を得ることで、農地法第4条・第5条の許可を経ずに地目変更登記が可能となります。

非農地証明の発行条件とは?

現況が農地でないからといって、必ず非農地証明が交付されるわけではありません。以下のような厳格な基準を満たす必要があります。

主な認定基準

  • 昭和27年10月21日以前にすでに農地以外だった土地
  • 自然災害により農地としての回復が困難な土地
  • やむを得ない事情による耕作放棄地で復元不可能なもの
  • 違反転用後、長期間が経過し農地復元が事実上困難な土地

なお、草刈りや整地をすれば容易に農地へ戻せる土地は対象外です。

非農地証明の申請手続き

申請書類の準備

申請は土地の所在する市町村の農業委員会に対して行います。必要な書類は以下の通りです:

  • 非農地証明願(様式あり)
  • 登記事項証明書
  • 公図・位置図
  • 現況写真
  • 住民票(申請者)
  • 現況経過の説明書類(転用時期の根拠など)

審査・現地調査

農業委員会は現地を確認し、認定基準に該当するかどうかを判断します。審査の結果により、証明書の交付または却下が決定されます。

市街化区域内の農地は「届出」で済む場合もある

注意点として、市街化区域内に所在する農地については、農地法第4条または第5条に基づく「転用の届出」が可能なケースがあります。

通常、農地を宅地などに転用する場合は「許可」が必要ですが、市街化区域にある農地は農業振興地域外かつ原則として農業継続の対象外とされているため、転用のハードルが緩和されています。

この場合、農業委員会への届出を行うだけで足りるため、非農地証明の取得よりも手続きが簡潔かつスピーディに済むことがあります。

したがって、対象地が市街化区域に該当するかどうかを、まず都市計画図等で確認し、届出制度が利用できる場合は非農地証明よりも効率的な手段となることを検討しましょう。

▼ポイント:
・市街化区域内 → 原則「届出」でOK(農地法第4条 or 5条)
・市街化調整区域や農振地域 → 原則「許可」または「非農地証明」が必要

非農地証明は自分で申請できる?

申請書類自体は比較的シンプルですが、農業委員会への訪問・書類取得の手間・再提出のリスクなどを考慮すると、行政書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

「現況証明書」との違いは?

非農地証明と似た制度に「現況証明書」がありますが、用途と対象が異なります。

証明書 対象 目的
非農地証明 無許可で農地以外となった土地 許可不要で地目変更登記を行う
現況証明 許可を得て転用済だが地目未変更の土地 登記補完用として地目変更を行う

地目変更登記を忘れずに!

非農地証明や現況証明を取得しても、それだけでは地目は変更されません。法務局にて地目変更登記を行う必要があります。

登記申請書に加えて、証明書、公図、登記事項証明書等を添付し提出します。煩雑な手続きが不要なよう、土地家屋調査士への依頼が一般的です。

まとめ|土地活用・売買のために非農地証明を正しく理解しよう

非農地証明は、農地のままでは進められない取引や相続、土地活用を可能にするための重要な制度です。認定基準は厳格ですが、正しく申請すれば地目変更を円滑に進めることができます。

判断に迷った際や手続きをスムーズに進めたい場合は、行政書士や土地家屋調査士などの専門家に相談しましょう。


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